「教育を変えたい!」と、教師から都議に

教育

ルポvol.71【教育】

東京都議会議事堂の一室。入館者用のカードを首から下げて、ソファに腰をかけている。先ほど仰ぎ見た、同議事堂前に聳え立つ東京都庁ビルが脳裏に浮かぶ。ここは、都民1400万人の政(まつりごと)を束ねるところ…。ドアが開く。現れたのは、東京都議会議員の寺前ももこさんだ。「はじめまして」という第一声を聞くなり、「あぁ、学校の先生だ」と思う。議員の「先生」という感じがしない。無機的な部屋がたちまち「教室」になり、子どもたちが賑やかに囲むような気がした。同じ関西出身なので、その柔らかなイントネーションから、自分の恩師の面影を重ねたのかもしれない。この生粋の先生が、なぜ小学校からこの場にいるのか。

 

フリースクールを運営しつつ、教員を政治家につなぐ

八王子市の小学校で、寺前さんは「学活(学級活動)」に力を入れ、子どもがイキイキ学ぶ学級を運営。しかし、「自分のクラスは変えられても、学校全体は変えられない」というジレンマに陥る。2023年3月に学校を退職。同年4月より、寺前さん自身が必要だと思っていた教育を実践するために「もも塾」を開設した。さらに、同年10月には、子もたちの居場所としてフリースクール「ももの木」をオープン。場所は、地元の東京都日野市だ。民間の立場を活かして自由なカリキュラムを実践するも、やがて「現場だけでは変えられないことがある」と感じてしまう。そして、政治の道へ進むことに。

 

「東京都から、教育改革に取り組みたい」と、2025年、東京都議会議員選挙に立候補。区議・市議を経ず、初めての選挙で都議に初当選した。以来、元教員の視点で、学校制度・教育への提言を次々と行う。2026年7月には、「『政治家×教員』のコミュニティ」を結成。現場教師の声を、政治家につなげ、各自治体に届けている。画期的なことだ。

 

そして寺前さんは、3児(5歳・7歳・10歳)の母でもある。まさに子育て真っ最中で、東京都で子どもと保護者が直面する課題を、日々の生活で直面しながら見出している。

 

「政治家」「フリースクール経営者」「3児の母」の役割を担う超多忙な活動の中心にあるのは、「教育を変えたい!」という強い思いだ。

 

「みんなで話し合う」というスタイル

話をうかがうと、寺前さんの活動のスタイルは一貫していた。現場で課題を見つける。解決するために、同じ課題を抱える仲間をつなぐ。議論の場をつくり、みんなで話し合う。そこで生まれた提案の実現化に自ら動く。「みんな」は、子どもも大人も含めてだ。

 

寺前さんは、実は学校においても、従来の「先生」ではなかった。教え導く「先生(教師)」ではなく、リーダーにしてメンバーの1人で、「支え」「支えられる」人なのだ。フリースクールの子どもも保護者も、だから寺前さんを「ももちゃん」と呼ぶ。

 

※イラストの背景は、フリースクール「ももの木」「もも塾」のHPトップページを参考に。(https://momojuku.com)

 

(寺前ももこさんのインタビューは、2026年8月21日、東京都議員会館の一室にて行った)

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