足立区に「民間版こども家庭センター」を!

連携
「支援をどう届けるか」は、行政も悩んでいる

栗野さんは、両アンケートの背景を語る。

「私たちが支援する方々さえ、利用できる支援を半数も活用できてません。ましてや、どこかの機関や団体にもつながっていない世帯では、さらにそうだと思います。厚労省の調査でも、利用率の低さは明らか。原因としては、告知の不十分さもそうですが、いざ利用しようとしても、申請手続きが大変なこともある。証明書を区役所に取りに行くため、仕事を休むのか、ということです。また申請の過程で、生活保護を受けているのが家族に知れて虐待されたという例も聞きました。個人情報の扱いが適切でなかったということです。

行政も、必要な情報を必要な人に届ける『アウトリーチ』の方法に苦慮していますよ。このことは、こども家庭庁による『子供の貧困対策に関する大綱』でも重要な論点の1つ。ただ、やはり行政的また福祉的なアプローチには限界がある。そこで最近は、地域資源を活用し、まちづくり的なアプローチで進めようという動きが出ています」。

 

「まちづくり」と「福祉」を組み合わせる久留米市

「それには、官民の連携がとても大事に」と、茂呂さんは話す。「福祉からの街づくりアドバイザー」として活動から全国を見渡し、福島県久留米市の先進事例を挙げた。

 

「久留米市は、『まちづくり』と『福祉』を、とてもうまく組み合わせてます。”実家より実家に近い”施設『じじっか』は、市の障害者基幹相談支援センター。ここが、私たちがやってる子どもネットワークのような民間の支援団体とさまざまに連携して活動しています。放課後になると、障害を持つ子もそうでない子も一緒になって過ごせる居場所になる。いろんな発見があり、楽しいから自然と集まるわけです。そこに、若手経営者が集まった『知恵つくプロジェクト』がつながり、まちおこしのイベントをやろうとなる。子どもたちや高齢者も参加して、みんなで一緒に盛り上がる。ちゃんと行政のサポートも入るので、継続的な活動になりますよ。いろんなアイデアが次々実現するのは、行政と支援関係の人たちが、いつも膝を交えて熱心にデスカッションするからでしょう。久留米市は、広報誌にしても、分かりやすく、ポップなものに。これが、行政っぽくないていいんです」

 

「足立区はどうか?」と尋ねてみる。

「強い思いを持って働かれる職員の方は、たくさんおられます。しかしやはり縦割りで、自身の管轄を超えて、他の部署につながるということはない。制度上の問題でしかたないところですが。一方で、民間の支援団体も、それぞれの活動で完結してしまってます」と茂呂さん。

「官民ともに、足立区での連携の難しさは、その規模の大きさも一因では」と、栗野さんは話す。「人口69万人ですから、まとめにくい大変さもある。小さな市や町のレベルなら、かえってやりやすいこともあるでしょう」。

 

将来、外部から、切れ者の事務局長を呼びたい

SKIPはまさに立ち上がったばかり。最終的な組織の形は、どうイメージしているのか?

「今は、私と茂呂、矢部が3人が中心となっています。しかし、各々が法人を持っており、SKIPに直接かかわれば、各自が2つの組織を運営することになり大変です。ゆくゆくは、外部から有能な方を呼び、事務局長になっていただく。お給料が出せるようになれば、元厚労省の官僚経験者などにお声がけするのもよいでしょう」と栗野さん。

「さらに拠点としての施設を得て、相談スタッフを据える。相談を受けると、事務局長の元、相談スタッフがサポートプランを練り、事業者の選定と依頼を行う。ただそのとき、特定の業者ばかりになると、『利益供与』になってしまう。またこうした事業では、トップの采配や力量に左右されて、そうした傾向になりやすい。組織が事務局長の『属人化』しにくい形になるよう、テクノロジーも利用しつつ、『システム』として回せるようにと考えています。『バックオフィス(業務を後方からサポートする事務所)』として存在になればいいですね」。

 

今後の展開には、事業資金の確保が必要になる。

「経営的な視点が、とても重要になります。最初は、助成金や企業協賛をいただきながら運営することに。将来的には、行政からの受託を目指しています。これはまだSKIP内でも意見は固まっていませんが、『基金』をつくって、その運用益で事業を回す、ということもやり方としてはあるかなと。また、エリアは一応、足立区内に限定します。対応する件数が膨大ですから。ただ将来、経験を蓄積したSKIPメンバーが、コンサルティング業を、足立区内外で展開してもいいのかなと。全国でノウハウを共有していただき、システムを拡げていきたいからです」。

 

支援者の連携で、セイフティーネットの拡大を

まさに今、SKIPは、足立区で自身の活動について、あの手この手の告知活動を着々と進めている。街中に配布するカードも用意。特に冒頭で紹介した、「あやセンターぐるぐる」で開催の「SKIPコラボフェスタ」は、その大切な発信基地の1つとなる。第1回目は「不登校」、第2回目は「外国ルーツ」(3/12)をテーマとし、専門家や支援団体、一般市民が集まり、課題を話し合った。

 

専門家や支援団体が広く連携することで、お互い欠けたところをカバーできる。また課題を共有でき、対応力もアイデアも増す。さらに行政と一致して協働できる。何より、支援できる子どもや家族がぐんと増える。そのセイフティーネットをどんどん広げて、足立区を丸ごとと包み込みたいもの。「壁」をつくってる暇はない。SOSを訴える多くの子どもや家族がたくさんおられる。それでも、支える力が、私たちにはある。ならば、手を携えよう。すべての子どもたちが生きやすい社会をつくるのは、すべての大人たちの責任であるから。

(文責/ライター・上田隆)

【問合せ】

Stand by Kids&Parents(略称:SKIP)/担当・栗野

一般社団法人チョイふる
一般社団法人チョイふるは、「生まれ育った環境によって子どもの将来が左右されることのない社会」を実現するため、3つの事業を実施しています。 ‍

 

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