学校の先生は、「フリースクール」に理解あるか?
足立区はこれだけ広いエリアなのに、フリースクール自体がまだまだ少ない。そこで区は、民間に対しての設立を働きかけている状況です。
何より、フリースクールの利用者側への支援が充実してきました。お子さん1人当たり、東京都から2万円、足立区からさらに2万円、月に合計4万円の助成金が出るようになりました。これは大きい! 通常フリースクールは、費用1人当たり月10万円でも大変だといわれています。でも週に通う日数を制限すると、月4万円で足りる。経済的な理由で通えなかったお子さんが通えるようになるわけです。フリースクール側にしても、利用者が増えれば経営が成り立ってきますし。
とはいえ、学校の先生方にお会いしてみると、「フリースクール」対して、まだまだとまどいを持たれているようです。先生にすれば、学校に来てくれないと、その子に対して支援が困難になる。いざ「来ない」となれば、学校に来ているお子さんたちに対応しながら、時間をさいてフォローしていくのにも限界がある。
先生方のフリースクールへの理解は、正直分れると思います。今の担任の先生は、フリースクールへこまめに連絡して、娘のいつも様子を聞いてくださる。本当にとても感謝しています。一方、以前、別の先生に、「フリースクールへ見学に行こうと思っています」と話すと、「じゃぁ、学校にはもう来ないんですね」と言われたことが。そうじゃないんです! フリースクールは、そもそも学校に在籍している状態で行くので、「転校」ではない。「フリースクールに行くなら、学校は何もしなくていい」ということにならないんです。
学校とフリースクールが、もっと連携すればいいのにと、いつも思います。その子の不登校のサインを、一番最初にキャッチするのは学校ですから。フリースクールはもちろん、いろいろ相談先を提案できる立場にもあります。でも、先生側としては、保護者に「見捨てた」と思われたくない。保護者側にしても、「うちの子、『学校では無理です』と言われているかも」と受け取る方もおられるでしょう。私は、話し方だと思っているんです。その子のことを本当に考えた提案ならば伝わるはず。

行政・学校・フリースクールとの連携始まる
昨年、『不登校支援連絡会議』が始まりました。行政と学校とフリースクールとの理解を深めるために、関係者の方々が対面で課題を話し合ったり、情報交換するという会です。まだまだ民間側からの参加が少ないのが課題。「フリースクール」の関係者に限定にせず、居場所づくりをされている方など、もっと枠を広げてもいいかもしれません。
学校側からは学校長が来られますが、今後は、お子さんに実際にかかわられている担任の先生方も参加されればいいなと。現場の先生には、「学校を良くしたい」「子どもたちのために」と真摯に思われている方がたくさんおられますから。
現場の先生が、いきいき働けるサポートを!
足立区は、「不登校」に関して、保護者へ早期相談を呼びかけるようになっています。しかし、見分けること自体が難しい面がある。子どもは「ちょっとお腹がいたい」「頭が痛い」など身体症状を訴えるので、保護者の方も、やがて収まるものだと。「行きたくない」が長引くとは思っていない。うちの娘も元々は、インフルエンザでお休みを取ったとき、学校も休校に。学級明けになったとたん、バッと行けなくなった。行けない理由をようやく言葉にしたのは、ずっと後のことです。先生があるお子さんを注意する。自分が怒られている場ではないのに、自分ごとのように受け取ってしまい、苦しくなる。それで「あの先生は怖い」と。でも、怒られたお友だち本人は、全然気にしてない(笑)。
先生は、本当に大変だと思います。多様な感覚を持ったお子さんが増えて、昔は「良し」とされていた教育法がNGとされる。ちょっと厳しく言っただけでも、先生が責められます。「手を出す」のは論外ですが、保護者を気にされ「叱る」ということがなかなかできない。
子どもたちへの対応が難しくなった今こそ、同僚の先生同士がお互いに、また管理職の先生方に、気軽に相談できる環境がより必要に。先生方がいきいき働けないと、子どもたちのちょっとした変化にも気づけないでしょう。
学校は1つの「会社」のような組織ですから、トップとして学校長が強い権限を持っています。「校長先生が変わったら、すごく良くなった」ということもよくうかがいます。学校長の学校運営の手腕によって、先生方のいきいき度が劇的に変わる。教育委員会は、学校のいろんな試みを応援してほしいです。学校長の元に、現場の先生たち自身、創意工夫していくことが、とても大事なことかなと。
また、学区に「校長会」はあっても、学校を超えての先生方の連携や交流は、あまりないようです。先生方の立場は、強いとはいえません。休職や離職がとても多い。精神面で病み、調子を崩されることもよくうかがいます。とくに女性の先生は、結婚して出産して、正規で先生をやっていくことが厳しくなり辞めてしまう。すると人材不足から、現場の先生に負担がのしかかって、さらに休職や離職が増えてしまう悪循環に。人材確保と多様な働き方ができるような体制をつくっていかないと。先生は、本当に減っていますから。
スクールカウンセラーは、まず子どもと遊んでほしい
昔に比べると、学校には、外からの人材が入っているのも事実です。スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーといった専門家、民間からは「登校サポーター」や、事務員の方などさまざまな方々が、先生の業務をサポートしています。
「スクールカウンセラー」に関しては、あと1歩、子ども側に寄り添ってほしいですね。すべての子どもが一度は、スクールカウンセラーの方との面談を求められます。でも初対面の大人に、いきなり本音が言えるものでもない。「この時間って、何?」「何か探られているのかな?」などと不信感もわく。まず、スクールカウンセラーの方には、子どもたちと休み時間に一緒に遊んだり、授業に参加したりして、ふだんから触れ合ってほしいです。信頼関係ができてこそ、「頼りたいなぁ」と思うものですし。
でも実際には、スクールカウンセラーの方は、週に1回学校に通うのみ。週に3日働けるのに、後の2日を別の2校回る方も。それなら同じ人が、週3回、同じ学校に来てくれればよいのにと。縦割り行政の話になりますが、スクールカウンセラーの方は東京都と区からそれぞれ派遣されており、週2回、どちらかの方が勤務するという形です。これも、効率的ではないのかなと。
足立区では、発達障害のお子さんに向けた「コミュニケーション教室」の設置を進めています。区も頑張って予算を入れて、別室をつくり、常勤の先生がいつもそこにいるように。これはとても良いことだと思います。
「学びの多様化地方議員連盟」の発足にかかわる
コロナ禍で休校となり、オンライン授業ができるようになり、子どもたち全員にタブレットが配られました。娘が学校に行けないとなったとき、オンライン授業を希望しましたが、学校からは「それはできない」と断られたんです。設備は整っているのですが…。
「もっと現実に即した、いろいろな学び方があってもいいのに」と、「多様な学び」に関心を持ち、取り組み始めています。議員となった頃、所属政党が主催する「ファースト政治塾」が終わって数カ月後のことでした。同会の神薗まちこさんから「一緒にやりませんか?」と声をかけていただき、「学びの多様化地方議員連盟」を立ち上げました。超党派の議連なので、現在、全国から80名の地方議員が集結。現在、みなさんと日本全国を巡って、先進自治体を視察したり、勉強会を開いたりして、学び合っています。得た知見を、これから足立区に生かしていきたいですね。
政策提案しつつ、正しい情報を伝えていきたい
私は、公教育にはまだまだ可能性があると考えています。諦めたくありません。ただ、学校という「ハコ」だけ見ていても、何も変えられない。広い意味での「学校」といいますか、学校を始め、行政、民間、地域が手をとって、子どもたちが安心できるフリースクールや居場所をさらにつくっていくべきでしょう。足立区にも、こうした場で奮闘されている方々がたくさんおられます。民間の方々の力を行政側も頼るというか、うまく使わせていただくべきだと思うんです。議員の私は、具体的なこととして、足立区に、小学校への「SSR」の設置と、小学生低学年も受け入れるフリースクールを要望していきたいです。
当事者のママさんたちとお話すると、学校に行かないお子さんの「将来」への不安で心がいっぱいになる、とよく言われます。不登校であっても「大学に行けた」「起業した」など、メディアやネットで「成功事例」を目にしますが、とてもわが子のこととは思えない。また、保護者が情報を探せる元気な状態であればいい。心が弱っている状態だと、自分から情報を取りに行くのも苦しいですよね。いくらネットがあるといっても、正しい情報があるわけでもない。ネガティブな発言もいっぱいある。それを見て、また落ち込んでしまう。これだけ不登校児が増えているのに、身近に「見えない」。みなさんが隠したりもするからでしょう。
私のような仕事をしていて、自分のことを積極的に発信することが、今、とても大事だなと。次女がフリースクールに行っていることをオープンに話していますが、それを知ってから、「実は…」とこっそり連絡されるお友だちがいたり。正しい情報をしっかり届けていく、ということも私の重要な仕事だと思っています。
(聞き手・ライター上田隆)

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