不登校の子どもに、教えられたこと

不登校
子どもの相談室は、「多目的トイレ」という現状

高校の非常勤教員/私は、高校で福祉の教員(スクールソーシャルワーカー)をしています。今回のお話は、「子どものために何ができるのか」ということでした。しかし、もし通常の集会であれば、どの教員も「私たちの地域には、困った子はいません」と、立場上そう発言するでしょう。私は非常勤なので、たくさん言えることがあります。でも、ソーシャルワーカーの立場で、次のことを言えば、学校をクビになるでしょう。

スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーのことです。相談室が特別な教室になっているので、悩みを抱えて行っても、「あの子、相談に行ったんだぜ」と他の生徒に言われてしまう。ずっと学校関係者にお願いしてるのは、「保健室の後ろに部屋をつくってほしい」ということ。行きやすいし、話しやすいからです。

でも学校では、組織的に対応が難しい。スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーは、区の非常勤です。一方で、教員は、東京都から派遣される公務員。その立場の違いで、お互いに現場の問題を共有して解決していく、ということになりません。今、どうしているかというと、多目的トイレを、子どもの相談場所にしています! そんな現状を知っていただければ、ありがたいです。

 

「民間版子ども支援センター」を、連携でつくりたい

橋本/地域の中で、子どもとかかわられている方で、何かご意見はありませんか?

チョイふる」代表・栗野/私たちは、足立区で2拠点ですが、子どもにとって「家」でも「学校」でもない「第3の居場所」をつくっています。来ている子どもたちは、1人ひとりが多様な問題を抱えていると感じています。貧困、発達障害、ヤングケアラー、外国人ルーツなどと課題もさまざまで、複数に重なる子も珍しくありません。自分たちができることは限られています。そこで、「足立区内外の専門家や団体が、連携しよう」と呼びかけ、「Stand by Kids&Parents(略称:SKIP)」という団体を立ち上げました。「民間版子ども家庭センター」をイメージしています。今後、いろんな方の手をお借りして、子どもたちが復元していく力を得る環境づくりを、積極的にやっていきたいと思います。

 

地域センターが、活用されていない

地域学習センター職員/私は、地域学習センターで、図書館の管理をしています。仕事では高齢者も子どもサポートしますが、子どもだけ見ると、ここ10年、20年で様変わりしてきたなと感じています。以前は、「何かしなきゃいけないな」と思う子が、センターに自ら来てくれていました。その子たちと話すと、私自身が、何かちょっと気持ちが優しくなったものです。でも今は、外に出て来れる力のある子どもたちしか、センターに来ていないなと感じます。家にこもってしまう子たちに、どうやって足を運んでもらえるかが、今の課題かなと。センターは学校と違うので、もっと気楽に利用されてもいいはず。でも、親御さんをはじめ、存在自体知らない方が、まだまだ多いのが現実です。やるべきことはたくさんありますね。

 

大山/今、高齢者も子どもも、地域学習センターに、なかなか出入りができないようです。中には、拒否された子もいる。「学校にもセンターにも入れない。ボクたちはどこへ行ったらいいんだよ」という声を、本人から聞くわけです。また、支援関係者からも「大山さん、足立区のどこかに、高校生や若者がふらっと行ける居場所がないですか?」と尋ねられる。「議員さん、つくってください!」、そんな声も届くわけです。居場所は、とにかく必要です。

 

逆境の子どもたちの声を、1万通受け止めて

悠々ホルン(ミュージシャン・歌手)/私は、もう15年間ほど、逆境の子どもたちから、お手紙やメールをいただいており、今では1万通ほどになりました。いじめや虐待を受けている、不登校など、悩みの内容はさまざまです。そうした声を、大人のみなさん、社会に伝える活動をしていますが、今回の「レジリエンス」というテーマで、思ったことをお話します。

逆境の中で傷ついた子どもたちは、一歩そこから抜け出しても、やはりずっとつらいものを背負い続けてしまう。しかし、経験したことを話すことによって、誰かの参考になったり、誰かの助けになったときに、「過去の受け止め方が変わった」という子たちがたくさんいます。話すことで気持ちが少し楽になり、「自分にできることは、何かあるのではないか」と前に踏み出せる。ソーシャルワーカー、学校の先生を目指す子もいます。

一方で渦中の子は、「何が辛いの?」と聞かれても、「何がつらいのか、自分ではよく分からない」と答えることがよくある。虐待にしても、「実は私、虐待を受けています」と言える子は稀でしょう。実際には、「私、いつも親を怒らせてしまう」「ダメな自分だから」という言葉が出てきたりします。でも、「私は、こういうことで苦しんでいたのか」と気付いたときに、初めて「レジリエンス」につながっていくのかなと。そうしたことを体験した子どもたちの存在に目を向けていただければ、大きな発見があると思います。

 

橋本/ホルンさんのお話したことは、「アディクション(依存症)」に苦しむ人たちが、互いの経験を話し合って回復していく「自助グループ」とも通じますね。物語化して話すことで、つらい経験を「解決」というのではなく、「手放していく」ことにつながる。それには、「話を聞く」ということが、とても大事だと思います。

では、最後に登壇者の方々へ、「レジリエンス」をどう伝えたらいいか、伝えられるか、一言ずつお願いできたらと思います。

 

一歩前へ、明日に踏み出そう!

大山/「大人から変わりましょう」と言いたいです!  まず大人が、聞く耳を持つこと。子どもだけではなく、隣にいる人の声もです。自分で宣言して、自ら実行していく。そうして「世界をつくる」ことの方が、早いかな。

 

片野/大人は、子どもの復元力を信じて、環境整備に務めること。そして、心の中はジタバタしていても、表の顔はにこやかに。お母さんが、不登校のわが子を前に、「学校にすら行けない!」と嘆いているのが、一番良くないんですよね。「そういう日もあるんだね」って、答えていただくと嬉しいかな。

 

橋本/現在の私の職場は、児童福祉法を根拠法とした「母子生活支援施設」です。子どもの福祉を第一義的に考えたら、お母さんの福祉の環境を整えていく必要があります。「未来ある子どものために、まずお母さんが幸せにならなくちゃね」なんて言いながら、毎日バタバタと働いています。

会場で、発言者にマイクを回しているこの方は…私の職場の上司、白石室長です。今日も応援に駆けつけてくれました。ぜひ、最後に一言、お願いします!

 

白石/ええっ!? (自身にマイクを向け)突然ふられて、どうしようかと…。1日がかり、たくさんのお話を聞かれて、「ああ、そうだな」と思ったことがあると思うんですね。それを心にとめることも大切ですけども、ぜひ、何か行動に移していただければなと。一歩前へ、明日に踏み出してみましょう! 今日はどうも、ありがとうございました!

 

(会場、盛大な拍手)

 

(文責/ライター上田隆)

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